今から話すことは、フィクションではなく、実話だ。石川県能登町に位置する数馬酒造の代表取締役数馬嘉一郎さんの話をしたいと思う。
能登生まれ、能登育ち。家業で酒蔵をしていたため、彼は大学生の頃から、漠然と「30歳になったら経営者になる」ことを考えていた。23歳のとある日、友人たちと飲み会へ行くと、「夢なに?」「30歳まで何を待っているの?」と聞かれたそうだ。そこで彼は雷に打たれたようにハっとなったそうだが、そのタイミングでお父様から「家業を手伝わないか」と言われたそうだ。
人×お酒の物語
今から話すことは、フィクションではなく、実話だ。石川県能登町に位置する数馬酒造の代表取締役数馬嘉一郎さんの話をしたいと思う。
能登生まれ、能登育ち。家業で酒蔵をしていたため、彼は大学生の頃から、漠然と「30歳になったら経営者になる」ことを考えていた。23歳のとある日、友人たちと飲み会へ行くと、「夢なに?」「30歳まで何を待っているの?」と聞かれたそうだ。そこで彼は雷に打たれたようにハっとなったそうだが、そのタイミングでお父様から「家業を手伝わないか」と言われたそうだ。
手伝い始めて、わずか5ヶ月で社長に就任。お父様が教えてくれると思いきや、お父様も別の会社の代表になり、会話できるタイミングが限られ、右も左も分からないまま社長になったという。私が同じ環境だったら恐らく発狂しているだろう(笑)。
そこからの彼の行動力がすごかった。
経営者750人に直に手紙を書き、経営を教えて欲しいとコンタクトをとったそうだ。社長になってから10年の月日が過ぎた今、立派な経営者として経営に専念している。
数馬酒造は『能登を醸す』を掲げ、能登の魅力(資源・人・文化)を最大限に引き出し、地域に貢献している。
経営理念:「能登を醸す」
使命:「醸しのものづくり」で、能登の魅力を高める。
未来像:「地域資源の価値を最大化するものづくり」によって、地域社会を牽引する企業になる。
今、あるものを活かしながら能登から社会へと新しい価値観を創造し この町の価値と伝統を守りながら 地元企業としてのあるべき姿を追求している。
水と米によって酒が醸されるように、これからも様々な活動を通して多くの人と出会い 人と人、企業と企業の相乗効果によって 能登全体が醸されたらと願いながら、日々豊かな能登の未来を目指して酒造りに励んでいるのだ。
数馬酒造は、日本酒だけではなくリキュールや醤油を作っている。それはなぜかと聞くと、その視座の高さに大いに関心させられた。
まず1つ目は、リスクヘッジ。海のある場所に位置する酒蔵は水害に合うリスクも高い。そのため、高台に醸造場を移転し、リキュールや醤油づくりをしているという。ものづくり機能がゼロにならないためにしているという。さすが経営的視点だ。
2つ目は、SDGsへの意識だ。原材料は100%能登産だという。これで地域の資源を活かしたものづくりが出来るし、運搬によるCO2はぐんと減るということだ。また、農家と協力し能登の耕作放棄地を開墾して米作りを行ったり、お米に適さない田んぼで小麦と大豆を植えたり、廃業したワイナリーを借りてリキュール機能を移転したりしている。土地を再生したり、古きものに新しいエッセンスを入れたりして、数馬酒造ならではの商品づくりをしているという。実に無駄をなくし、循環システムがきれいに構築されている。
ここまで全体を見、実際に形にするためには相当な努力が必要だったはずだ。それを目に見える形で上手く循環するようにしてしまった数馬さんには尊敬しかない。
社長に日々大切にしていることを聞いた。
とても社員想いで日本酒が本当に好きなのだと感じた。お酒造りは社員がいて、初めて成り立つもの。朝8時30分から18時までのお酒造りで、持続可能な環境づくりを大切にしている。
社長自身は、毎日ワクワクが止まらないのだそうだ。アツい…!そんな社長がいたらみんな付いて行きたくて仕方がないに違いない。彼のモチベーションの高さは驚くばかりだったのだが、彼はしきりに「自分一人では何もできないんで。」と言うのだった。謙虚さを兼ね揃えた彼が創り出すお酒はどんなお酒なのか。最高な美味の2本を紹介したい。
竹葉 生酛純米 奥能登
海藻から抽出した酵母使用 能登テロワールを追求するお酒
米・水・酵母すべてが能登産の純米酒。
特に酵母は、能登の海藻から抽出して使用しており、能登テロワールを追求したお酒。販売開始から2年目を迎えた昨年は、国内外のコンクールで多くの賞を受賞するなど反響が大きく、発売から半年で完売となっていたそうだ。
「竹葉 生酛純米 奥能登」の3つの特徴
1.能登の海藻から抽出した酵母を使用
2.醸造課社員のチャレンジから生まれたお酒
3.フランスの世界的トップソムリエも認める旨み豊かな味わい
このお酒は、奥能登の海岸に漂着した海藻から採取され、東京海洋大学、石川県立大学、弊社の共同研究により開発された酵母を使用。また、醸造社員にそれぞれタンク1本の自由醸造を任せる「責任醸造」という取り組みの中で、海藻酵母を使用した酒造りにチャレンジしたところ、独特の味わいを持つお酒に仕上がり、製品化に至ったという。
また、フランスの世界的トップソムリエであるダビッド・ビロー氏から『日本酒のもつ“UMAMI”を初めて体感することができた』と、このお酒が持つ豊かな旨味について、特別な評価を受けているお酒。
竹葉 生酛純米 奥能登:https://shop.chikuha.co.jp/products/141576959
竹葉 生酛純米 奥能登 しずく無濾過生原酒
世界で最も大きな影響力をもつといわれる品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」にてゴールドメダルおよびリージョナルトロフィーを獲得した上で紹介した「竹葉 生酛純米 奥能登」の無濾過生原酒。1500本限定で発売。火入れした「竹葉 生酛純米 奥能登」は定番酒として販売しているが、毎年半年ほどで完売。ファンの多いお酒だ。
能登の契約栽培米五百万石を使用し、能登の海藻から抽出されたMisaki酵母にて醸しており、米、水、酵母すべて能登産の、能登テロワールを実現した純米酒。また、昔ながらの生酛造りでゆっくりと仕込み、米の旨味を引き出している。気品のある甘みと余韻に出現する旨味の存在感に圧倒される一本。
竹葉 生酛純米 奥能登しずく:
https://shop.chikuha.co.jp/products/okunoto_shizuku_720
バナナやカシューナッツのような優しい甘みと、コクのあるプディングやカスタードのような、包み込むような香り、そしてトロピカルな濃厚さを感じる、「生酛純米奥能登」に加え、「しずく」はより微発泡感が増して、爽やかさが増したようだ。
実際にスイーツとのマリアージュも最高な美味だった。
〜大人の酒チョコプリンレシピ〜
<用意するもの>プリンカップ6個分
・スイーツチョコレート:240g
・無調整豆乳(牛乳も可能):330g
・全卵(Mサイズ):3個
・日本酒(数馬酒造生酛純米 奥能登):12g(ひとまわし量)
・生クリーム:60g
・グラニュー糖:5g
・冷凍ベリー:適量
<作り方>
1 オーブンを160°に余熱しておく。
2 豆乳をお鍋のふちがふつふつする程度まで温め、火を止めて、チョコレートを加える。1分程度そのまま置く。
3 卵に日本酒を加えほぐす。
4 3に2を2回に分けてくわえる。こし器で裏ごす。
5 カップ容器を天板に入れ、カップ容器に液を流す。プリン液の少し下程度まで65℃の湯せんを加える。湯せん天板の底にはふきんかキッチンペーパーをひいて、熱のあたりを柔らかくする。上にアルミホイルをかぶせた状態で160℃ 35~45分焼成する。
6 表面が少し揺れるくらいで焼き上がり。湯せんから取り出し、粗熱を取る。
7 生クリームとグラニュー糖を氷水を当てて7分立て程度まで立てて冷凍ベリーと共にデコレーションする。出来上がり。
ぜひ、ご紹介の上の2本の日本酒と合わせて食べてみて欲しい。チョコレート感が増して、最高なマリアージュを楽しんでもらえるはずだ。
数馬さんにとっての日本酒とは、「自分を形成してくれるもの」だそうだ。と同時に、感謝を感じていて、社員と一緒に成長し、一緒に成果をあげることこそが喜びなのだと話してくれた。
「日本酒はロマンがある。日本酒がきっかけでいろんな人に出会えるんです」と笑顔で語ってくれた。思い出すだけで涙腺が緩み目頭が熱くなる。
私は今日も泣く。
数馬酒造の日本酒を片手に。
全てへの感謝の気持ちでいっぱいになって、むしろ泣きたいのかもしれない。
数馬さんに心から感謝を贈りたい。
高岡 麻彩(Maaya Takaoka )
京都府出身。関西学院大学卒業。
日本酒サブスクリプションサービス「日本酒にしよう」CEO。年間50以上の酒蔵を訪問し、1,000以上の日本酒をテイスティング。燗酒コンテスト2021・ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022審査員。きき酒師資格取得。
インドで「Sake box」をプロデュースし、海外の新規市場開拓にも貢献。「日本酒を知ることは、日本を知ること」をモットーに、日本酒は大切な文化であり、守り伝えていくべく国内外に活動を広げている。
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