人×お酒の物語
Story
京都府城陽市の名水と厳選された酒造好適米を用い、美感遊創(びかんゆうそう)という独自のコンセプトに基づいた美酒を生み出す城陽酒造。
その魅力と秘訣を、代表取締役社長・島本稔大さんに詳しくお伺いしました。歴史と革新が織りなす京都の酒造りを、ぜひご堪能ください。
京都ならではの水と米を生かす酒造り
ーー蔵のコンセプトである「美感遊創」について、詳しく教えてください。
「意味」美しく感性に訴えるところがあり、遊びがあって独創性をもっているもの。
城陽酒造では、酒造りに対する根本的な姿勢についてこの考えを理念とし、歴史や伝統を大事にしながらも自分たちの自由な発想やアイデア、そして課題を持ったチャレンジなど、全てにおいてこの想いをモットーに取り組んでおります。
ーー地下からくみ上げる仕込み水は軟水とのことですが、硬度やその特徴について教えて下さい。
城陽酒造が位置する京都府南部山城地域は非常に優れた地下水に恵まれた土地で、我々が理想とする料理に寄り添うクリアで飲み飽きない酒質に仕上がります。
城陽酒造の仕込水は木津川の伏流水として、自社の地下100メートルから汲み上げた品質、水量ともに素晴らしい超軟水(硬度約18㎎リットルとなります。
蔵では現在も水道水を必要とせず、全ての作業にこの仕込水を使用しております。
ーー城陽酒造では酒造好適米「祝」「五百万石」「山田錦」を使用しているとのことですが、それぞれのお米への想い入れや使い分け方などはありますか?
城陽酒造では高品質な原料による地酒を目指し酒造好適米100%の酒造りを行っております。
食中酒としてスッキリとして落ち着いた酒質には京都府産五百万石を使用すること多く、純米酒から中吟クラスの旨味がありキレの良い酒質を持ち、京都らしさを前面に出したい酒には京都府独自の酒造好適米祝を用いています。
酒米の王として知られる山田錦は全て兵庫県産を使用しています。芳醇な香りに包まれた華やかさや風格のある王道の味わいを目指している純米吟醸酒や純米大吟醸酒に多く用いております。
またより高品質な酒米を求め、2016年からは、兵庫県神崎郡市川町の酒米農家である前川様との山田錦契約栽培を開始しました。さらに2020年からは兵庫県三木市吉川町の酒米農家桐畑様とも契約栽培を開始しました。いずれの農家様からも安心安全で素晴らしい品質の酒米をご提供いただいております。
”むかし”から”いま”。そしてこれから
ーー城陽酒造の歴史について教えていただけますか?創業から現在までの経緯や変遷についてお聞きしたいです。
京都府南部に位置する山城地域にて金融業を営む島本家の分家として、文政のころより酒造りを少量ながら手がけておりました。1895年10月「島本酒造部」を組織し、現在の酒蔵を新造して本格的に酒造りを家業として始めました。
その後4代を経て技術の研鑽に勤め、戦後の苦難な時代を越え、1973年に「城陽酒造株式会社」を設立いたしました。
過去城陽酒造では、現在の10倍ほど約4000石の生産量があり、ある程度大きな仕込みにて醸造したお酒を主に大手酒造会社へ未納税酒として販売しておりました。しかしながら、なかなか自社ブランドを確立する事ができずにおりました。
その状況から脱却するため、前社長が30年ほど前に「自社ブランドの確立・目標とする酒質を追い求める」という、目標に向けて、全ての未納税酒をやめるという大英断を下しました。
当然生産量は大幅に減少しましたが、酒造りの原点である「原料へのこだわり」「手造り」「小仕込みによる醸造」などの手間ひまを惜しまない特定名称酒普通酒以外・本醸造酒以上中心による自社ブランドだけの醸造をスタートしました。
ーー今後の展望や目標について教えてください。
我々が追い求める「フレッシュな味わいとお米本来の旨味を持ち飲み飽きしない食中酒」というコンセプトに対してブレることなくチャレンジをしていきたいと考えています。
「京都府産の原料を用いた酒造りはもちろん、高品質な酒造好適米を使用して手間ひまを惜しまず醸造して、搾ってからはなるべく手を加えず原酒のまま無濾過で瓶詰をして、火入れ酒は全て瓶燗火入れをして冷蔵瓶貯蔵を行う」などの基本姿勢を徹底しブラッシュアップしていき新たな課題に挑戦してより良い酒質を目指して取り組みたいと考えています。
城陽酒造とは
山城地域の金融業を営む分家として文政の頃から少量の酒造りを手がけ、1895年に「島本酒造部」を組織して本格的に始めた。1973年には「城陽酒造株式会社」を設立し、自社ブランドの確立を目指して大手酒造会社への未納税酒販売を止め、特定名称酒の自社ブランドを重視した醸造を開始。
地下100メートルから汲み上げた品質、木津川の水系となる超軟水(硬度約18㎎㍑)の伏流水を活用し、さらに、こ仕込みで細やかな醪の管理や温度管理、そして、上槽時もやわらかくしぼるなどの知恵・こだわり・努力を続けることでクリアで飲み飽きない酒質を目指している。
自然豊かな土地、城陽の地酒として飛躍する事ができるように社長の島本稔大以下従業員数10人小規模蔵として、歴史と伝統に育まれた酒造りを新たな感覚を研ぎ澄まし、毎年課題を持った取組みを行い「料理を引き立て飲み飽きしない京の食中酒」を追い求めチャレンジし続けている。
高岡 麻彩(Maaya Takaoka )
京都府出身。関西学院大学卒業。
日本酒サブスクリプションサービス「日本酒にしよう」CEO。年間50以上の酒蔵を訪問し、1,000以上の日本酒をテイスティング。燗酒コンテスト2021・ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022審査員。きき酒師資格取得。
インドで「Sake box」をプロデュースし、海外の新規市場開拓にも貢献。「日本酒を知ることは、日本を知ること」をモットーに、日本酒は大切な文化であり、守り伝えていくべく国内外に活動を広げている。
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