人×お酒の物語

Story

水のような日本酒とは? 上善如水
やわらかくしなやかに生きていきたい 水のような日本酒とは? 上善如水
水のような日本酒とは? 上善如水
やわらかくしなやかに生きていきたい
私の半生を振り返ると、常に山あり谷あり。猪突猛進の性格も相まって、慌ただしい毎日の連続だった気がする。大学生活は朝5時に起き、早朝の電車に乗り2時間半かけて学校に通っていたし、最初に就職した会社は、毎週月曜日に朝8時から全社会議があり、毎朝、急いで身支度、パンをかじりながら、家を出るという忙しい日々を過ごしてきた。
私は、日本酒業界・酒蔵を盛り上げたいという想いで、さまざまな酒蔵の社長や杜氏にインタビューし、直接話を聞くことがある。その中で、物事に真摯に向き合うことや、経営者としての目線など、学ぶことが本当に多い。
目の前の事柄に常に追われていた今までの自分と、今の自分を比較すると、見ている視線や視座が少し大人になった気もする。その大人の目線になるために必要なのは、“柔軟さ”なのではないかと最近思う。つい先日、私がこれから参考にしたい「生き方」をまさに表現している日本酒に出逢った。

白瀧酒造とは?

積雪の多い、新潟県。山間の真ん中に位置する湯沢町。ここに唯一、1蔵の酒蔵が存在する。

1855年、越後と江戸を結ぶ三国街道の要衝である湯沢の地で、旅人・行商人を相手に酒を提供するところからスタートした、白瀧酒造。

「トンネルを抜けると雪国だった」という川端康成の「雪国」の舞台越後湯沢は世界有数の豪雪地帯、新潟県南魚沼地方に位置する。

たっぷりと積もった雪は、春に雪解け水となり地面に染み込み、およそ50年の年月をかけて清冽な地下水となった。白瀧酒造の自社敷地の3本の井戸から汲みあげる水は酒造りに適した軟水で、すべてのお酒の仕込みに使われ、白瀧酒造の酒質を決定づけている。

自然の濾過を終えての地下水は口当たり優しくほんのり甘みを感じ、それを生かした酒の味わいを追求している。最近はアジア圏、香港、アメリカ、韓国、ヨーロッパ オーストラリア シンガポール など30カ国に輸出しており、海外展開に力を入れている。

日本酒は美容と相性が良い

日本酒は美容にも健康にも効果が期待できることをご存知だろうか。

日本酒にはアミノ酸が豊富で、その量はワインの10倍もあると言われている。分子が細かくお肌に馴染みが良いと言われ、昔から女将さんが吟醸酒をそのままお肌につけるという人もいたそうだ。

白瀧酒造は2009年くらいからコスメラインを開発し販売している。

お酒で培った技術や素材で、お酒を飲まない方にも価値を届けたいという理念のもとスタートした。酒粕エキスや日本酒自体が入っているものもあり、ハンドクリームから始まって、今ではメンズコスメまで展開している。美容の観点からも日本酒の良さ、素晴らしさを伝えているのだ。

30周年リニューアル

白瀧酒造を代表するお酒は「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」。その「上善如水」が30周年を記念してリニューアルした。

「雪どけの水は、やわらかい」をコンセプトにした「上善如水」は、低アルコール・スパークリング清酒から本格的な純米吟醸まで、日本酒世界への架け橋となるような日本酒。

低迷を続ける日本酒業界において、日本の伝統文化「日本酒」の素晴らしさをもう一度多くの方へ届けられるような日本酒へとリニューアルした。精米歩合(精米前を100%ととして、精米後の米の割合)を60%から55%へ。「香り、やさしさ、滑らかさ」を実現するためにグレードアップ。

また、よりお客様目線に寄り添った手に取りやすいボトルへのデザインへの刷新を行った。リニューアルの商品企画会議のメンバーは営業の若手、20台の社員も一緒になって、「こういうパッケージが良いのでは?」と社員皆で意見を出し合って造ったという。蔵人たちの努力と汗の結晶なのだ。

シブーストとの相性が抜群

水のようにやわらかく、優しいほのかな甘さに合わせるスイーツは何が良いのか?すぐに思いついたのが、旬なりんごを使ったデザートだ。

旬りんごのシブースト

<用意するもの>カップ6個分
・スポンジケーキ:4号サイズ
●クレームパティシエール
・ゼラチン:2g
・卵黄:20g
・きび砂糖(グラニュー糖でも可)1:5g
・薄力粉:10g
・無調整豆乳(牛乳でも可):100g
・きび砂糖(グラニュー糖でも可)2:15g
●イタリアンメレンゲ
・水:15ml
・きび砂糖(グラニュー糖でも可):100g
・卵白:50g
●りんごのキャラメリゼ
・りんご:200g
・きび砂糖(グラニュー糖でも可):70g
・無塩バター:10g
・レモン果汁:適量

・きび砂糖(グラニュー糖でも可):適量

事前準備:写真のような型を用意し、スポンジケーキを同じ型にカットしておく。
1 りんごは皮を剥き、一口サイズにカットする。鍋にりんご、砂糖、バター、レモン果汁を加え、煮詰める。
2 色が変わってきて、水分がなくなってきたら火を消して冷蔵庫で冷やしておく。
3 ゼラチンをふやかしておく。
4 ボウルに卵黄を入れ、きび砂糖1を加えて擦り混ぜ、薄力粉を加えて混ぜる。
5 豆乳にきび砂糖2を鍋に入れて沸騰直前まで加熱する。
6 豆乳を卵黄の入った4のボウルに少しずつ注ぎ入れ、混ぜる。
7 鍋に戻し入れ、ゴムベラで混ぜながら加熱し、とろみがついたらさらに1分間ほどよく混ぜながら加熱する。ふやかしたゼラチンを加えてよく溶かす。火を消し、粗熱を冷ます。
8 新しいボウルに卵白を入れ、ミキサーで泡立てる。
9 小鍋にグラニュー糖と水を入れて中火弱で118℃になるまで加熱しシロップを作る。
10 卵白を泡立てながら、シロップを細く垂らし少しずつ加えていく。ピンとツノが立つまでミキサーでしっかり泡立てる。
11 まだ温かい7のクレームパティシエールに10を少しずつ入れ、ホイッパーでふんわりムラなく混ぜる。
12 シブーストクリームの出来上がり。
13 カップにスポンジを敷き、りんごのキャラメリゼを入れる。その上にシブーストクリームをカップ一杯に注ぎ、冷蔵庫で冷やす。
14 表面が固まったら、砂糖をふりかけ、バーナーで表面をパリパリに飴掛けする。(3度くらい行うのがおすすめ)

是非、リニューアルした「上善如水」と合わせてみて欲しい。

伝統を現代に位置づける

今回インタビューさせていただいたのは、酒蔵を支えている広報担当の松村舞子さんだ。前職は航空会社に勤めており、5年前から歴史と日本酒が好きで白瀧酒造に転職。酒蔵は数多くの人の手で造られている。酒蔵をそばで支えている人からの視点というものにすごく興味を持ったので、インタビューさせていただいた。

そもそも上善如水の由来は?
わたしたちが理想とするのは、「みずのごとし」の名の通り、まさに「水」のような日本酒です。

ここ越後湯沢は、日本有数の雪国。冬のあいだに降り積もった雪は、やがて美しい雪どけ水となってわたしたちの日本酒の仕込み水となります。雪どけの水は、かろやかで、やわらかく、ほんのりと甘い。そんな豊かな水の表情を活かしてこのお酒を造りました。水のようにあらゆるものと調和して、するりと喉の奥へと落ちる。目指したのはそんなシンプルで清らかなお酒です。

最初にいただいた時、本当にさらさらとミネラルウォーターを飲むような感覚でいただけて、穏やかで、気持ちがやすらぐようだ。クセがなく、邪魔をしない。それでいてちゃんと日本酒らしい甘みと旨味は感じられる。お料理に合わせて、より良い形に変わっていく……本当に万能型、変幻自在のカメレオンのような日本酒だと感じた。

リニューアルのきっかけは?
上善如水は、発売から30周年を迎えています。12年前にも時代に合わせて、醸造アルコールを使用せず米と米麹と水のみを原料とする「全量純米化」をしてリニューアルしています。大きくリニューアルするのは、今回が2度目なんです。

50-60代の方に「初めて飲んだ日本酒が上善如水」と言ってもらえることが多く、主力商品である「上善如水」も発売されてから30年が経過しました。このタイミングでもっと若い方にも知ってもらいたいということで、2019年から検討しリニューアルの運びとなりました。

私たちがずっと考えてきたことは「どういう存在としてお客様の暮らしに届けられるか」なんです。今回のリニューアルでは、「上善如水」が日本酒を好きになるきっかけになりたい、親子で飲んで語らえる日本酒にしたいという思いから、飲みやすさにはこだわりました。

世代を超えて愛される日本酒を目指したいと思っています。

 

今回、お話を伺って、支える立場の方も信念を持ち、杜氏やお酒造りのスタッフと同じ思い・目線で仕事に挑んでいることを感じた。そして、何より共通して言えることは、日本酒に対する「愛」である。

「蔵人がタンクの中の微生物が発酵する様をとても大切にしていて、吟醸のいい香りが蔵の中に充満し、それがお客様のもとに届き、体の一部になる…感動のある仕事に携われていると思いますし、お客様に、裏方や蔵人の思いも一緒に届ける役割で大事な仕事ができているなと感じています。」と松村さん。

その言葉を聞いた時、なんだか、心がホッとするそんな感覚に襲われた。
忙しい毎日の中で、ホッと一息つくようなそんな感覚だ。
このやさしく、あたたかい感覚……
リニューアルした「上善如水」を口に含んだ時の感覚に似ている……

日本酒が愛されつづけるために、時代の流れとともに、日本酒を“刷新”していく。
氷のように硬直したものは、外からの力に長く耐えるかもしれないけれど、いつか、力に負ければ壊れてしまう。川を流れる水のように柔らかであれば、時代に合わせて川筋は変わっても、同じ水でありつづける。ホッと一息つける感覚は、上善如水がもつ水のような柔軟さ、余裕から感じられるのかもしれない。

そして、この柔らかさは、何よりも日本酒を手に取る人のことを考えて、考えて、考え抜いて到達したものだ。
蔵人一人一人から届けられる愛のメッセージは、一滴一滴の水滴が川となり、川が集まって大きな海につながるように、やさしく、滑らかで、あたたかい。

「上善如水」のように、私も柔軟さを持ち合わせ、人に余裕を与えられる人でありたい。

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