人×お酒の物語

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『賀茂泉酒造』広島県東広島西条の歴史と味わいを楽しむ|日本酒にまつわる人×お酒×酒蔵の物語
『賀茂泉酒造』広島県東広島西条の歴史と味わいを楽しむ|日本酒にまつわる人×お酒×酒蔵の物語

『賀茂泉』という名の銘酒で知られる、広島県東広島市西条に位置する「賀茂泉酒造」

この蔵元は、大正元年(1912年)の創業以来100年以上にわたり、純米醸造のパイオニアとして日本酒業界をリードし続けています。

その確かな技術と伝統を守りながらも、新たな挑戦を恐れず、現在では世界15カ国への輸出も手掛けています。

そんな「賀茂泉酒造」の代表取締役社長、前垣壽宏さんに、酒造りへのこだわりと、これまでの歩み、そして未来へのビジョンについてお話を伺いました。

ーー賀茂泉酒造の歴史(創業〜現在)について教えてください!

1912年に前垣壽一が父親(前垣所太郎)と営んでいた米穀・肥料商から酒造業を始めました。

その後、長男の前垣壽三に代が移り、戦後の昭和40年初頭から、戦時中(昭和18年以降)に失われた、米と米こうじだけの酒造りの復活に取り組み、昭和47年(1972)に全国に先駆けてアルコール無添加の酒、「本仕込 賀茂泉」を発売しました。

以来「純米酒のパイオニア」として純米醸造の啓蒙と拡大に努めています。

平成初めころから海外への輸出を模索し始め、現在は15カ国への輸出をしています。

 

ーー三浦仙三郎を祖とする広島杜氏の伝統・技術と賀茂泉酒造での酒造り

三浦仙三郎翁の功績により、近代的な酒造りが開かれました。

また三浦翁は広島杜氏を集団化組織し、その技術の向上と伝承にも取り組まれました。

当蔵の杜氏は代々広島杜氏が努めています。

その他地域に伝わる杜氏の酒造りの流儀を知りませんので、比較してお話することはできませんが、賀茂泉らしい旨味のしっかりある酒造りを続けていきたいと思います。

食中酒として価値を発揮していきたい!

ーー「賀茂泉」という酒名の由来や、地名と水の重要性は?

「賀茂」は地名。

その由来は京都の賀茂社(上賀茂神社、下鴨神社)に由来します。

創業当時に江戸時代に山陽道の名水と呼ばれた「茗荷清水」を汲んで仕込水としたことから命名されました。

現在、自社の井戸で汲み上げた水を使用。

この水は、北側約2kmにある龍王山一帯に降った雨水やその間の地表や田んぼ、ため池などから地下に浸透した伏流水です。

山の規模は小さいので水量は豊富ではないですが、酒造りに適した清涼な水で、硬度90程度の中硬水、発酵力のある水です。

水も米もそのものの味わいが酒に表現されますので、水はとても重要な要素ですね。

 

ーー広島県産の酒米造りの特徴は?

酒どころ西条からすぐ近く(直線6km程)の距離にあり、昔から米作りが盛んだった造賀地区は良質な米作りに最適な環境が整っています。

広島県は酒米生産も盛んで、県外にも出荷しています。

主な品種は八反系(広島八反、八反錦)、雄町系(こいおまち、改良雄町)、千本錦があります。

これらは主に広島県北部エリアで栽培されています。

それと造賀地区の山田錦が県指定の酒造好適米になります。

それ以外に酒造好適米ではない米で中生新千本も県中央部で多く栽培されています。

また今年から新しい酒造好適米が育種されました。

 

ーーこだわりの「三段仕込み」を活用する理由は?

活性炭濾過は当蔵の特定名称酒は一切行っていません。

着色の原因や雑味にもなるアミノ酸等を取り除くために使用しますが、米本来の味わいそのままを活かすことが大切であると考え、活性炭素を使用する濾過を行っていません。

賀茂泉酒造

大正元年(1912)、前垣酒造場を創業。

酒名は京の都に由来する地名の「賀茂」と当蔵所有の山林にある西国街道の名水「茗荷清水」を汲んで酒を仕込んだことから、「賀茂泉」と名づける。

酒蔵のある、JR西条駅周辺には7軒の酒蔵があり、特に東側6軒は東西500m、南北200mのエリアに酒蔵が集まっている中でも歴史と文化を持つ酒蔵。

酒造りにおいては、広島杜氏伝承の「三段仕込」を忠実に守りながら、厳選された米を手造りで醸し、活性炭素ろ過を行わないことで芳醇で豊かな味わいと美しい山吹色した酒を醸している。

酒蔵には4つの館があり、お酒と喫茶が楽しめる喫茶店とお土産販売所、イベントコンサートができるスペースも常設。

これらの建物は、昭和4〜50年まで広島県清酒醸造試験場として使用されており、昭和50年の閉場以降は賀茂泉が広島県から購入して酒蔵の一部となった。

見学予約可能 

お問合せ:082-423-2118

公式サイト:https://www.kamoizumi.co.jp/

この記事の執筆及び監修者

高岡 麻彩(Maaya Takaoka )

京都府出身。関西学院大学卒業。
日本酒サブスクリプションサービス「日本酒にしよう」CEO。年間50以上の酒蔵を訪問し、1,000以上の日本酒をテイスティング。燗酒コンテスト2021・ワイングラスでおいしい日本酒アワード2022審査員。きき酒師資格取得。
インドで「Sake box」をプロデュースし、海外の新規市場開拓にも貢献。「日本酒を知ることは、日本を知ること」をモットーに、日本酒は大切な文化であり、守り伝えていくべく国内外に活動を広げている。

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